毎年のように「○○年に一度」規模の災害に見舞われる現在。
災害地で感じたことや森林に関わってきた経験から、土石流に混ざっている木の多くが針葉樹(主にスギ・ヒノキ)で、豪雨による山崩れや土石流などに“植林針葉樹”が大きく関係していると感じていました。
木造建築が大半を占め、 電柱も“木”だった戦後、復興に大量の木材が必要として植林された時期から約70年。伐る時期(50~60年)を過ぎた植林の針葉樹は適度な間隔が保てず過密化しています。植林の針葉樹は根が浅く、過密により根が広げられず縦にも横にも根がはれていない状態で、「山を支える力=水を貯える」が弱り山崩れを引き起こしています。
その反面で木造建築の多い日本では、木材国内需給料は約30%、約70%を輸入材に依存しており、世界の木材流通量のおよそ50~60%を日本が輸入しています。
「地球の肺」と言われるアマゾンでは1988年から40年程度で、日本の面積の1.1倍、アマゾン全体の15%が消失(建築に関連した伐採だけでなく、畜産に関連した伐採・焼失など)したと言われています。急激に乾燥化する地域がある一方、毎年のように豪雨による災害が起こる地域。この原因の一つは今の日本の建築が大きく関係していると感じています。


木を伐る行為自体が環境破壊と学んできた方も多いと思いますが、強い山を育てるためには適度な間伐や環境保全のための間伐が必要です。
一度人間によって手の加えられた森林は、長期的に間伐などの手入れが必要になります。
自然の力で森林が再生してもらうには、『計画的範囲を全伐(皆伐)→種子が落ちて自然林が育つのを待つ→次の個所を全伐する→種子が落ちて自然林が育つのを待つ→次の…』と気の遠くなる継続作業と時間が必要です。
野生動物による農作物被害や人的被害にも関係し、境界線(里山)で人が活動しなくなったこと(林業の衰退)により、人と野生(奥山)の境界線が曖昧になり、人里の畑で栄養価の高い野菜を食べ急激に繁殖します。野生動物が山で暮らすことは自然の循環には不可欠な反面、増えすぎると崩れます。環境保全のため植林を行う企業はありますが、針葉樹の植林は現在よりも山を弱らせ山林災害の増加した未来を子供たちに押し付けることになります。
また、セミやカブトムシなどの昆虫は樹液の多い落葉広葉樹に好んで集まり、その幼虫が土に穴を掘ることで山が雨水を貯えやすくなり、落葉樹の落葉が土を育て幼虫や木が育つ。幼虫や木の実を鳥が食べ、種を運び、山を育て、山が水を育て海を育てる。
現代の真冬は違和感を感じないほど山が青々としていますが、常緑の山は山林災害を引き起こす危険性を含んでいます。秋に紅葉が見られる山こそが本来あるべき山の姿です。
一度壊れた自然の循環を取り戻すことは難しく、失われた種は人間の力では復元できません。
未来に起こる問題のように感じますが、現在目の前に起きている課題であり、山が地下水を貯えられないことは海面上昇・過度な温室効果ガス・巨大台風など様々な環境問題に関係していると弊社は考えています。
環境保全のため植林を行う企業はありますが、針葉樹の植林は現在よりも山を弱らせ山林災害の増加した未来を子供たちに押し付けることになります。


まだまだ微力ではありますが、野生動物と共生する文化 “奥山” “里山” を取り戻し、未来に残る「日本の山」「日本の木」「日本の家」という仕事に誇りをもって取り組んでいます。

関連ページ「異議 持続可能な開発目標(SDGs)について
     「会社概要

*追記

太陽光パネル大量設置のため山林を切り開くことも山を弱らせる原因となっており、太陽光発電のソーラーパネルには現段階ではリサイクルや焼却処理できない(焼却時に有毒なガスが発生する)部分があり、パネルが寿命を迎える将来には大量の黒いゴミの山を作ることになります。弊社ではお客様から太陽光パネルのご依頼をいただいた場合は、ご説明の上、丁重にお見送り申し上げております

日本の家とは日本の風土に合った家を表現しており、和風住宅に限定しておりません