Archives 11月 2020

梁修繕工事

築99年の古民家。99年の時間をかけてじわりじわりと動いてきた梁(地松)

桁(外部に面した屋根を受ける材)との接合部を破壊し、落下しました。幸いけが人はなく建物の損傷だけで済みました。梁の落下に伴って屋根が下がってしまったので、屋根の不陸調整(高さ調整)と梁の再設置+補強工事を行いました。

強制的に乾燥させた木は動きは少ないのですが材木としての寿命は短く、反対に天然乾燥材は材木としての寿命は長く、選定によっては予想を上回る動きを見せる場合があります。

この梁は99年経った現在でも接合部を破壊できるほどの力を持っています。天然乾燥の強さや木の恐さを感じました。

古民家修繕

通し柱差し替え

木造家屋で最も重要な通し柱の差し替え工事です。家屋の大敵、白アリによって根元から2メートルまで侵食されており、根継ぎでは強度が保持できないため、通し柱から2階床組までの大半を修繕しています。

古民家リノベーション

本物の”質感”を追求したこだわりの一軒家

この建物には天然杉・松・黒松・室・桐・栃(トチ)・椿・桜・栗・紅葉・ウリン・ウォールナット・チーク・レッドシダー・ビルマチークなどの他種に渡る木材や、竹・自然石・砂など選び抜いたこだわりの素材を使用しております。


玄関敷台

樹種 : 栃(トチ)

建築材以外にも楽器や器などに使われますが、特に縮杢の材は茶道具や工芸品などに好んで使われます。

*この建物で使用している栃材は縮杢をふんだんに使っていますので、見る角度によって光の映り込みが変わります。


お風呂

樹種 : ビルマチーク

世界三大銘木の1つで高級家具材として長く愛され続けています。また水に強く腐りにくい特性からヨットなどにも使われています。今回はそのビルマチークを使い船舶家具風のバスタブに仕上げ、さらに特殊なコーティングを施しメンテナンスもバツグンです。

*浴室にはその他にブラックウォールナットなどの個性豊かな天然素材が最高のリラクゼーションを演出しています。

御手洗い

紅葉カウンター

紅葉は甘い香りが特徴で、消臭効果もあります。材質は硬く、正しく乾燥させれば加工しやすい木です。
トイレには調湿、消臭効果のある樹種を選びます。

階段

軸になる柱は室(むろ)
階段の踏み板には松
板の繋ぎにはウォールナット
階段と壁の見切りには黒竹
を使用しています。

オリジナルキッチン

樹種 : 天然杉

杉は日本人にとって最も身近な木かもしれません。ここでご紹介する杉は人が植えた木ではなく、人知れず種が落ち芽をだし、その後数百年の風雪に耐えた大木を使用しています。

*年輪の巾や色でその年代の気候を感じ取ってみるのも楽しいですよ。

松の床板

樹種 : 松

2Fの床一面に使用した松の床板、木の柾目を使うことにより柔らかい足触りが体に対する負担を和らげてくれます。

*無塗装の木材は調湿効果をフルに発揮します。
それゆえに夏は涼しく、冬は暖かいので床でゴロゴロすると心地いいです。

和室

樹種 : 桐・椿・黒松

落とし掛けは桐材です。桐は木材の中で最も貴賓のある木と言っても過言ではありません。しかし製品なるまでアク抜きなど最低7年の歳月がかかるなど手間暇かかる木材でもあります。

床柱は椿 油分が多くしなやかでいて堅く最高のステッキ材であるとともに成長が遅く樹皮に付く苔などの風合いから茶室などの玄人好みの床柱です。

床板

床板は黒松 黒松はしなやかで上品な雄松(赤松)にたいし荒々しい男松のことで、ダイナミックな杢が魅力です。

黒松のお話
ここで使用している床板は黒松の肥えた(油の多い)部分だけを使用しています。しかし現代では樹齢300年を超えた国産の松が枯渇してしまい入手困難になっています。
一工務店ではその魅力を少しでも伝えたく入手できるかぎりその木材を生かすべく埋め木など匠の技を使い稀少な木材を今に伝え続けます。


外壁

焼き板(素焼き)
素焼きのまま使用することで、腐りにくく、虫がつきにくくなりますが、通常素焼きの板は、風や擦れなどによる経年劣化で煤の部分が落ち、素焼き本来の効果も半減します。 弊社独自の施工方法により風雨などの自然劣化を抑え、防腐・防虫の効果を長持ちさせています。

下の写真は施工より7年後の写真です。施工直後とほぼ同じ状態が保たれています。


壁紙

和紙


内壁

砂壁


掃出し靴脱ぎ

左官 洗い出し

新築工事

茅葺合掌部災害復旧工事

平成30年7月豪雨による被害
修繕・補強後

中国地方を中心に日本全国で大きな災害になった「平成30年7月豪雨」

兵庫県も県内全域に被害がありました。

この住宅は茅葺きをトタン屋根で覆っていて一見屋根に被害はないように見えましたが、トタン屋根の中では合掌部分が約650㎜傾いて、棟が家紋を押し出して かなり危険な状態でした。

費用的な面から既存のトタン屋根は残したまま合掌部分だけを解体調整、棟の修繕補強、麻縄で固定して最後に家紋の補修。

トタン屋根は手入れやランニングコスト面でメリットがありますが、デメリットとして中が確認できないため、不具合に気付いた時にはかなり進行していることがあります。

茅葺きの建物を長くいい状態で残すために一度業者に依頼して確認してみることをお勧めします。

災害復旧